米原油先物、一時92ドル突破 中東情勢の緊迫化が供給懸念を加速
要約
中東における地政学リスクの高まりを背景に、原油先物価格が2023年10月以来となる90ドル台に到達。ホルムズ海峡の航行リスク増大が市場心理を強気に転換させている。
原油先物が90ドル台に到達
米原油先物が1バレル=92ドルを一時的に突破した。中東情勢の急速な悪化を受け、世界的な石油供給への懸念が価格を押し上げた形だ。
2月末以降、米国とイスラエルによるイランへの軍事攻撃を契機に中東の緊張が一段と高まっている。イランがホルムズ海峡の航行を実質的に阻害し、商業航行が停止状態に陥ったことで、供給途絶への警戒感が市場全体に広がった。ホルムズ海峡は世界の石油輸送の約30%が通過する要衝であり、同海峡の機能不全は原油市場に直接的な影響を及ぼす。
週間上昇率は過去20年で最大級
今回の価格急騰は、その上昇スピードでも際立っている。WTI原油は3月5日時点で78~82ドル台で推移していたが、わずか1日で92ドル台まで跳ね上がった。週間上昇率は約35%に達し、過去20年間で最大の勢いとなった。90ドル台の到達は2023年10月以来のことである。
OPECプラスは現行の減産措置を2026年末まで延長しており、有志8カ国は2026年1~3月の増産を見送る方針を示している。供給サイドの引き締めが続く中での地政学リスクの顕在化が、価格を一段と押し上げる要因となった。
日本経済への波及も懸念
原油価格の高騰は日本経済にも影響を及ぼす可能性がある。ガソリン価格への波及や、インフレ圧力の再燃が懸念される。ただし日本は国家備蓄と民間備蓄を合わせて約8.5カ月分を保有しており、政府は「直ちに需給に影響が出るわけではない」との認識を示している。
一方、トランプ政権は石油増産の方針を掲げているものの、中東紛争の激化がその効果を相殺する構図となっている。4月以降に予定されるOPEC減産の段階的緩和が実現するかどうかが、2026年の原油市場の方向性を左右する分岐点になりそうだ。