2026/4/3
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経済

NY原油先物が100ドル突破、中東情勢の緊迫化で供給懸念が拡大

要約

WTI原油先物が心理的節目の1バレル100ドルを超え、中東情勢の悪化に伴う供給途絶リスクが市場を揺さぶっている。日本は原油輸入の約9割を中東に依存しており、国内経済への波及も懸念される。

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100ドルの大台を突破

ニューヨーク原油先物市場で、国際指標であるWTI(ウエスト・テキサス・インターミディエート)が1バレルあたり100ドルを突破した。中東情勢の緊迫化を背景に、原油供給への懸念が急速に広がったことが価格を押し上げた。

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※画像はイメージです

100ドルの大台突破は、エネルギー市場にとって大きな心理的節目となる。米エネルギー情報局(EIA)は2026年の平均WTI価格を52ドル前後と見通していたが、足元の地政学リスクの高まりにより、市場の実勢はこの予測を大幅に上回る水準に達した。

中東情勢が供給リスクを直撃

原油急騰の直接的な要因は、中東地域における軍事的緊張の高まりだ。2月28日に米国・イスラエルがイランに対して軍事攻撃を実行して以降、イランはホルムズ海峡を通過するタンカーを標的に攻撃。海峡を通過するタンカーは事実上ゼロとなり、封鎖状態に陥っている。

ホルムズ海峡は世界の石油輸送量の25%以上が通過する要衝であり、サウジアラビア、イラク、クウェート、UAE、イランからの原油輸出が集中する。この海峡の通航が途絶したことで、日量1,650万バレル規模の供給が遮断されるリスクが現実味を帯びている。

  1. 米国・イスラエルがイランへ軍事攻撃

    攻撃を受けたイランがホルムズ海峡のタンカーへの攻撃を開始し、通航が停止状態に陥った

  2. 原油価格が急騰局面に

    WTI原油は週間で約35%上昇し、過去20年間で最大の上昇ペースを記録した

  3. WTI原油が100ドル突破

    供給途絶への懸念が市場を支配し、心理的節目である100ドルの大台を超えた

日本経済への影響は不可避か

日本にとって事態は深刻だ。原油輸入の94.0%を中東地域に依存しており、タンカールートの8割がホルムズ海峡を経由している。海峡の封鎖が長期化すれば、ガソリンや電気料金への波及は避けられない状況となる。

サウジアラビアは紅海のヤンブーポートからの迂回輸出を検討しているとされるが、全量の代替には至らない見通しだ。中東からの通常の輸送に20日から25日を要するところ、迂回ルートではさらに日数が延びることになる。

OPEC+は2026年末までの減産措置の延長を決定しており、4月以降に日量20.6万バレルの増産を予定していたが、イラン情勢の悪化を受けて再調整が見込まれる。供給の回復には時間がかかるとの見方が広がっており、市場では120ドル台、さらには140ドルへの上昇を見込むシナリオも浮上している。