1月の実質賃金が13カ月ぶりプラスに転換、原油高騰で先行き不透明も
要約
厚生労働省の毎月勤労統計調査で1月の実質賃金が前年同月比1.4%増となり、13カ月ぶりのプラスに転換した。ガソリン暫定税率の廃止や食料品価格の伸び鈍化が物価を押し下げた一方、イラン情勢に伴う原油高騰が今後の懸念材料となっている。
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13カ月ぶりの実質賃金プラス
厚生労働省が発表した1月分の毎月勤労統計調査(速報)によると、物価上昇を考慮した働き手1人あたりの実質賃金は前年同月比1.4%増加した。実質賃金がプラスに転じたのは13カ月ぶりとなる。
ニッセイ基礎研究所の斎藤太郎・経済調査部長は「名目賃金の伸びが予想以上だった」と指摘。名目賃金はもともと賃上げによって2%台の伸びがあったとしつつ、「1月に大きく伸びた理由はあまりはっきりしない」と述べた。
物価低下が後押し
今回のプラス転換には、消費者物価指数の上昇率が2%を割り込んだことが大きく寄与している。斎藤氏は「ガソリンの暫定税率が廃止された影響が大きく、食料品の伸びが鈍化したのも効いた」と分析した。
名目賃金が堅調に推移する中、物価上昇の勢いが弱まったことで、実質賃金のプラス転換は「想定通りだった」という。
原油高騰が影を落とす
ただし、先行きには不安材料もある。イラン情勢を受けた原油価格の高騰が、今後の実質賃金に悪影響を与える見通しだ。原油価格の上昇はガソリンや電気料金など幅広い品目に波及するため、再び物価上昇圧力が強まれば、せっかくのプラス定着が崩れる可能性も指摘されている。
13カ月にわたって続いたマイナスからようやく脱した実質賃金だが、エネルギー価格の動向次第では再びマイナスに転落するリスクを抱えている。