原油高がアジアの暮らしを直撃 ベトナムでガソリン3割高、フィリピンは週4日勤務も
要約
WTI先物価格が約3年9カ月ぶりの高水準に達するなか、イランによるホルムズ海峡の事実上の封鎖や湾岸諸国のエネルギー施設への攻撃が重なり、アジア各国の市民生活に深刻な影響が広がっている。
エネルギー危機ホルムズ海峡原油高騰
原油急騰、アジア各国の生活に影
原油価格の急騰がアジア各国の生活に影を落としている。米国産標油の指標であるWTI先物価格は2026年3月9日、約3年9カ月ぶりの高水準に達した。背景には、イランによるホルムズ海峡の事実上の封鎖と、湾岸諸国のエネルギー施設への攻撃がある。
原油高の影響は、アジア各地の日常生活に直接及んでいる。ベトナムではガソリン価格が3割値上がりし、市民の家計を圧迫している。フィリピンではエネルギー消費を抑えるため、勤務を週4日に制限する動きも出ている。
ホルムズ海峡封鎖が供給不安を増幅
今回の原油高の最大の要因は、中東の地政学リスクの高まりである。イランがホルムズ海峡を事実上封鎖したことに加え、湾岸諸国のエネルギー施設が攻撃を受けており、原油の安定供給に対する懸念が市場全体に広がっている。
ホルムズ海峡は世界の石油流通における要衝であり、同海峡を通過する原油の大部分がアジア市場向けとされる。封鎖の長期化は、化石燃料への依存度が高いアジア各国の経済に深刻な打撃を与える恐れがある。
2022年以来の供給危機再燃か
原油市場が大きく揺れたのは、2022年のロシアによるウクライナ侵略がきっかけだった。当時、米欧日はロシア産原油の輸入禁止措置に踏み切り、世界的なエネルギー価格の高騰を招いた。
今回は中東発の供給不安という異なる構図ではあるものの、アジアの消費国にとっては再びエネルギー調達の危機に直面する形となっている。ガソリンや物流コストの上昇は食料品をはじめとする生活必需品の価格にも波及しかねず、各国の対応が注目される。