アサヒGHD株主総会、ランサムウェア被害受けサイバー対策強化へ
要約
2025年9月のランサムウェア攻撃で商品出荷や決算手続きに影響が出たアサヒGHDが定時株主総会を開催。出席株主は前年比255人増の535人に上り、経営陣はセキュリティ投資の強化と取締役のスキル見直しを表明した。
ランサムウェア被害後初の株主総会
アサヒグループホールディングス(GHD)は2026年3月24日、東京都内で定時株主総会を開催した。同社は2025年9月に「Qilin(キリン)」を名乗る組織からランサムウェア攻撃を受け、システム障害が発生。国内で酒類、飲料、食品のほとんどの商品出荷が滞り、従業員・取引先の個人情報が漏洩したとみられている。被害後初の株主総会とあって関心は高く、出席株主数は535人と前年から255人増加した。
総会では24人の株主が質問に立ち、前年より10人多かった。所要時間は2時間05分で、前年から4分長い。会社側が提案した剰余金処分の議案と、勝木敦志社長を含む13人の取締役選任議案がいずれも承認可決された。
経営陣がセキュリティ強化を表明
勝木社長は総会の場で「経営陣にも情報セキュリティーに関するスキル整備が必要だ。外部専門者の知見も取り入れる」と述べ、経営レベルでの対策強化を明言した。IT担当の崎田薫取締役は「投資設計のなかでセキュリティーの考えを組み込み、より強固な体制を実現するために投資する」と、セキュリティ投資の拡充方針を示した。
大八木成男取締役会議長は、攻撃発生時の現場対応について「現場では長年の経験から速やかにマニュアルを整備して復旧し、立派だった」と評価。そのうえで「取締役会ではスキルマトリックスを見直し、各取締役に対しサイバーセキュリティーに対する役割を明確化し、監督を強化する」と述べ、ガバナンス体制の見直しに踏み込む姿勢を示した。
身代金拒否と残る課題
同社は犯人からの身代金要求に対し、交渉も支払いも行っていない。一方、システム障害の影響で決算手続きに遅れが生じており、会社側は別途、臨時株主総会を開く予定であることを明らかにしている。
ランサムウェア攻撃による具体的な被害額や漏洩した個人情報の件数、商品出荷が滞った期間などは明らかにされておらず、臨時株主総会の日程も未定である。サイバー攻撃を受けた大手企業として、今後の情報開示とセキュリティ体制の再構築が注目される。