ソニー・ホンダモビリティ、電気自動車の開発・発売を中止と発表
要約
2022年にソニーとホンダが共同出資で設立した合弁会社が、EV事業からの撤退を決めた。CES 2026での試作車公開からわずか2カ月余りでの方針転換となる。
EV開発・発売の中止を発表
ソニー・ホンダモビリティは3月25日、電気自動車(EV)の開発および発売を中止すると発表した。同社はソニーグループとホンダが2022年に共同出資で設立した合弁会社で、「AFEELA(アフィーラ)」ブランドのEVを開発していた。
今年1月には米ラスベガスで開催されたCES 2026で「AFEELA Prototype 2026」を世界初公開したばかりだった。第2弾モデルとしてSUVの開発も計画されていたが、すべて白紙となる。すでに受け付けていた予約金は全額返金される見通しだ。
ホンダの戦略転換が引き金に
事業中止の背景には、親会社であるホンダの経営判断の大幅な転換がある。ホンダは3月12日、「四輪電動化戦略」を抜本的に見直すと発表。EV関連資産の除却・減損で約1.3兆円の損失を計上する予定を明らかにしていた。
ソニー・ホンダモビリティは自社工場を持たず、ホンダからの製造・技術供給に依存する「工場なきEV」戦略を採用していた。ホンダの戦略変更により、事業継続の重要な前提条件が崩れた形だ。
急変するEV市場が背景に
世界のEV市場は急速な構造変化に直面している。米国ではEV需要が予想を下回り、補助金政策の変更も逆風となった。中国ではBYDが販売台数で世界首位に躍進し、小米汽車や零跑汽車など新興勢力が急成長する一方、テスラは販売台数が前年比8.6%減少するなど、競争環境は激化の一途をたどっている。
こうした状況を受け、ホンダは完全なEVシフトを急がず、ハイブリッド車を含む「マルチパスウェイ戦略」を継続する方針に転じた。国内では2026年にN-VAN e:や価格を抑えた小型EVの投入を予定している。
ソニー・ホンダモビリティ設立
ソニーグループとホンダが共同出資で合弁会社を設立。ソニーが単独開発していた「Vision-S」の後継としてEV事業に本格参入した。
「AFEELA」ブランド発表
AIを活用した対話型パーソナルエージェント搭載のEVブランドとして発表。業界内外から注目を集めた。
CES 2026で試作車を世界初公開
「AFEELA Prototype 2026」をラスベガスで披露。SUVの第2弾モデル計画も明らかにしていた。
ホンダがEV戦略を抜本見直し
EV関連資産の除却・減損で約1.3兆円の損失計上を予定。マルチパスウェイ戦略への回帰を決めた。
ソニー・ホンダがEV開発中止を発表
ホンダの戦略転換を受け、EV事業からの全面撤退を決定。予約金は全額返金される。
CES 2026での華々しいお披露目からわずか2カ月余り。パートナー企業の戦略転換に対する構造的な脆弱性が、合弁事業モデルの限界を浮き彫りにした。